株式投資で利益が出たとき、確定申告が必要なのかどうか迷う方は多いのではないでしょうか。特定口座(源泉徴収あり)を使っていれば基本的に申告は不要ですが、損失の繰越控除や配当控除を受けたい場合は自分で確定申告を行う必要があります。
確定申告は難しそうに見えますが、国税庁の確定申告書等作成コーナーを使えば、画面の指示に従って入力するだけで申告書を完成させることができます。必要書類を事前に揃えておけば、30分ほどで作成できるケースがほとんどです。
この記事では、株式投資の確定申告が必要になるケース、必要書類、具体的な手順までを初心者にもわかるように一つずつ解説しています。初めての確定申告で不安を感じている方は、ぜひこの記事を参考にしてみてください。

確定申告が必要になるケース・不要なケース
まず確認すべきは、自分が確定申告をしなければならないのか、それとも「しなくてもよいが、したほうがお得」なのかの判断です。
確定申告が不要なケース
以下に該当する場合は、原則として確定申告は不要です。
- 特定口座(源泉徴収あり)で取引しており、損失の繰越控除や配当控除を受ける必要がない
- NISA口座のみで取引している(非課税のため申告不要)
- 給与所得者で、株の利益を含む給与以外の所得が年間20万円以下(ただし住民税の申告は必要)
確定申告が必要(またはしたほうがお得)なケース
- 特定口座(源泉徴収なし)や一般口座で利益が出た場合 → 申告義務あり
- 損失を翌年以降に繰り越したい場合 → 繰越控除には申告が必須
- 複数の証券会社間で損益通算したい場合 → 申告しないと合算されない
- 配当控除を受けたい場合 → 総合課税での申告が必要
- 外国株の配当で外国税額控除を受けたい場合 → 申告が必要
特定口座(源泉徴収あり)でも、確定申告をすることで税金が戻ってくるケースは意外と多いので、該当しないかどうかチェックしてみてください。
確定申告に必要な書類
株式投資の確定申告に必要な書類は、事前に揃えておくとスムーズに手続きが進みます。
| 書類名 | 入手先 | 必要なケース |
|---|---|---|
| 年間取引報告書 | 証券会社(特定口座の場合) | 株式の売買損益を申告する場合 |
| 配当金の支払通知書 | 証券会社・発行企業 | 配当控除を受ける場合 |
| 源泉徴収票 | 勤務先 | 給与所得者の場合 |
| マイナンバーカードまたは通知カード | 自治体発行 | 全員必須 |
| 前年の確定申告書の控え | 自分で保管 | 繰越控除を継続する場合 |
年間取引報告書は毎年1月中旬〜下旬に証券会社から発行されます。電子交付を選択している場合は、証券会社のマイページからダウンロードできます。郵送を希望する場合は事前に設定しておきましょう。

確定申告の具体的な手順(e-Tax編)
ここからは、国税庁の確定申告書等作成コーナーを使ったe-Taxでの申告手順を説明します。紙の申告書を手書きで作成するよりも、はるかに簡単で正確です。
ステップ1:確定申告書等作成コーナーにアクセス
国税庁の確定申告書等作成コーナーにアクセスし、「作成開始」をクリックします。マイナンバーカードを使ったe-Tax送信が最も手軽ですが、ID・パスワード方式でも対応可能です。
ステップ2:申告書の種類を選択
「所得税」を選択し、次に申告書の様式を選びます。株式の譲渡所得を申告する場合は「分離課税」の申告が必要になるため、対応する項目にチェックを入れてください。
ステップ3:給与所得の入力
会社員の方は、源泉徴収票をもとに給与所得を入力します。画面の指示に従って、支払金額、源泉徴収税額、社会保険料の金額などを入力していきましょう。
ステップ4:株式の譲渡所得を入力
ここが株の確定申告のメイン部分です。「株式等の譲渡所得等」の項目を選択し、年間取引報告書の内容を転記していきます。特定口座の年間取引報告書であれば、記載されている数字をそのまま入力するだけです。
入力する主な項目は以下のとおりです。
- 譲渡による収入金額(売却額の合計)
- 取得費および譲渡に要した費用の額(購入額+手数料の合計)
- 源泉徴収税額(すでに徴収された税金の額)
ステップ5:配当所得の入力(該当する場合)
配当控除を受ける場合は、配当所得の項目も入力します。「総合課税」を選択すると配当控除の適用を受けられますが、課税所得が高い方は「申告分離課税」のほうが有利になる場合もあります。
配当所得の課税方式の選び方の目安:
- 課税所得695万円以下:総合課税が有利(配当控除で実質税率が下がる)
- 課税所得695万円超:申告分離課税が有利(所得税率が高いため)
- 損失がある場合:申告分離課税で損益通算するのが有利

ステップ6:損失の繰越控除を入力(該当する場合)
前年以前に確定申告をして損失を繰り越している場合は、「翌年以後に繰り越される損失の金額」の欄に前年の申告書から転記します。繰越控除は最長3年間適用できるため、損失が大きかった年の翌年から3年間は忘れずに申告を続けましょう。
ステップ7:申告内容の確認と送信
すべての入力が完了したら、画面に表示される申告書の内容を確認します。特に「還付される税金の額」や「納付する税金の額」が想定通りかどうかを必ずチェックしてください。問題なければe-Taxで送信するか、印刷して税務署に提出します。
確定申告の時期と提出先
確定申告の期間は毎年2月16日から3月15日までです。ただし、還付申告(税金が戻ってくる申告)の場合は、翌年の1月1日から5年間いつでも提出できます。
損失の繰越控除のために申告する場合(利益がなく還付もない場合)も、通常の申告期間内に提出することをおすすめします。期限を過ぎると繰越控除が適用されなくなるリスクがあります。
よくある間違いと注意点
複数口座の損益通算で年間取引報告書を漏れなく入力する
複数の証券会社で取引している場合、すべての証券会社の年間取引報告書を入力しないと正確な損益通算ができません。1社でも漏れがあると、税金を多く払いすぎてしまう可能性があります。
NISA口座の損益は申告に含めない
NISA口座の取引はそもそも非課税であるため、確定申告には含めません。逆に言えば、NISA口座で発生した損失は損益通算に使えないという点にも注意が必要です。
住民税の申告方式に注意
所得税と住民税で異なる課税方式を選択できる制度がありましたが、制度が変更されている場合がありますので、最新の情報を自治体の窓口や国税庁のサイトで確認するようにしてください。
確定申告をすると、所得が増えたと判定されて以下に影響が出る可能性があります。
- 国民健康保険料の算定
- 配偶者控除の判定
- 児童手当の所得制限
特に扶養に入っている方は、申告前にシミュレーションすることをおすすめします。

まとめ:株の確定申告は年間取引報告書があれば怖くない
株式投資の確定申告は、年間取引報告書さえ手元にあれば、国税庁の作成コーナーで画面の指示に従って入力するだけで完成します。特に難しい計算は必要ありません。
損失が出た年こそ確定申告のチャンスです。繰越控除を使えば、翌年以降の利益と相殺して税金を減らすことができます。「利益が出たときだけ申告する」のではなく、損失が出たときこそ忘れずに申告する習慣をつけましょう。

確定申告書の作成は国税庁の確定申告書等作成コーナーで行えます。株式の譲渡所得に関する詳しいルールは国税庁「株式等を譲渡したときの課税」を参照してください。e-Taxの利用方法についてはe-Tax公式サイトで最新情報を確認できます。


