「買った株がどんどん下がっていく…どうすればいいの?」「含み損が膨らんで、毎日株価が気になって仕方ない」という不安を抱えている投資初心者は少なくありません。含み損は投資をしていれば必ず経験するものですが、正しい対処法を知らないと大きな損失につながってしまいます。
含み損とは、保有している株の時価が購入価格を下回っている状態のことで、まだ売却していないため損失は確定していません。しかし、「確定していないから大丈夫」と放置するのは危険です。適切な判断基準を持つことが重要です。
この記事では、含み損が発生したときの具体的な対処法を、初心者でも実践できる形で解説します。冷静に判断するためのチェックリストも用意していますので、含み損で悩んでいる方はぜひ参考にしてください。

含み損が発生する原因を理解しよう
含み損に正しく対処するためには、まずなぜ含み損が発生したのかを理解する必要があります。
原因1:相場全体の下落
日経平均やTOPIXなど市場全体が下がっている場合、個別銘柄も連動して下落することがあります。この場合は個別企業の問題ではないため、相場全体の回復とともに株価も戻る可能性があります。
原因2:業績の悪化
決算で業績予想を下方修正したり、赤字に転落したりした場合は、株価が大きく下落することがあります。業績悪化が一時的なものか構造的なものかを見極めることが、対処法を決める上で最も重要です。
原因3:高値で買ってしまった
人気化した銘柄を「乗り遅れたくない」と高値で買ってしまうケースです。過熱感のある銘柄は、熱が冷めると一気に調整が入ります。
原因4:セクターローテーション
市場の資金が特定のセクター(業種)から別のセクターに移動する「セクターローテーション」により、特定の銘柄群が軟調になることがあります。
原因5:個別のネガティブニュース
不祥事、訴訟、規制変更、主要取引先の問題など、その企業固有のネガティブな要因で下落するケースです。
含み損への対処法5つの選択肢
含み損が発生したときの対処法は、主に5つあります。それぞれのメリット・デメリットを理解して、状況に応じて使い分けましょう。
対処法1:損切りして撤退する
これ以上の損失拡大を防ぐために、含み損のまま売却する方法です。
こんなときに選ぶ
- 購入理由がなくなった(業績悪化、不祥事など)
- 事前に設定した損切りラインに達した
- 資金を他の有望銘柄に振り替えたい
「今この銘柄を持っていなかったら、この価格で買うか?」と自問して、答えが「NO」なら損切りが正解です。
対処法2:そのまま保有を続ける(塩漬け)
含み損を抱えたまま保有し続ける方法です。「塩漬け」とも呼ばれます。
こんなときに選ぶ
- 企業の業績は問題なく、下落が市場全体の影響による場合
- 長期的な成長シナリオが崩れていない場合
- 配当利回りが高く、保有し続けるメリットがある場合
ただし、根拠のない塩漬けは単なる「判断の先送り」です。保有する理由を明確に言語化できるかどうかが、正しい保有と塩漬けの分かれ目です。
対処法3:ナンピン買い(買い増し)
株価が下がったタイミングで追加購入し、平均取得単価を引き下げる方法です。
こんなときに選ぶ
- 企業の本質的価値に変化がなく、割安になったと判断した場合
- 追加投資する余裕資金がある場合
- ナンピンの回数と金額をあらかじめ決めている場合
ナンピン買いは諸刃の剣です。うまくいけば平均取得単価が下がり回復が早くなりますが、さらに下落すると損失が一気に膨らみます。初心者は安易なナンピンを避けた方が無難です。
対処法4:一部を売却してポジションを縮小する
保有株の一部だけを売却して、リスクを減らす方法です。全部売るか全部持つかの二択ではなく、中間の選択肢を取ることができます。
こんなときに選ぶ
- 判断に迷っている場合
- 含み損が精神的に耐えられないほど大きくなっている場合
- 他の投資機会に資金を割きたい場合
対処法5:損益通算で税金を取り戻す
他の銘柄で利益(確定利益)が出ている場合、含み損の銘柄を売却して確定損失を作ることで、利益と相殺して税金を減らすことができます。これを「損益通算」と呼びます。
年末が近づいたら、含み損銘柄の売却による節税効果を検討してみましょう。確定申告の繰越控除を使えば、損失を3年間繰り越すことも可能です。

含み損への対処法を決めるチェックリスト
含み損が発生したときに、冷静に判断するためのチェックリストを用意しました。以下の質問に答えてみてください。
チェック1:購入した理由は今も有効か?
「業績成長が期待できるから買った」なら、今も業績は成長しているか?「割安だから買った」なら、今はさらに割安になっているのか、それとも割安の理由が変わったのか?
チェック2:下落の原因は一時的か構造的か?
相場全体の調整や一時的な悪材料による下落なら回復の可能性がありますが、事業環境の根本的な変化による下落は回復が難しいかもしれません。
チェック3:事前に決めた損切りラインを超えていないか?
事前にルールを決めていたなら、それに従いましょう。ルールを破ってうまくいくこともありますが、長期的にはルールを守った方が成績は安定します。
チェック4:含み損が生活や精神に影響を与えていないか?
株価が気になって仕事に集中できない、夜眠れないという状態なら、ポジションが大きすぎるサインです。精神的に楽になれるまでポジションを縮小しましょう。
チェック5:この資金を他に使った方が良いのでは?
含み損の銘柄を持ち続ける「機会コスト」を考えましょう。その資金をもっと有望な銘柄に投じた方が、結果的に資産が増える可能性はないでしょうか。
含み損を抱えたときにやってはいけないこと
含み損で焦ると、かえって状況を悪化させる行動をとってしまうことがあります。避けるべき行動を知っておきましょう。
NG行動1:根拠なくナンピンする
「安くなったからとりあえず追加購入」は最も危険な行動の一つです。さらに下がれば損失が倍増します。ナンピンするなら、明確な根拠と計画がある場合に限りましょう。
NG行動2:取得単価を見ないふりをする
証券口座にログインしなくなったり、含み損の銘柄を「なかったこと」にしたりするのは問題の先送りです。定期的に保有銘柄をチェックする習慣を維持しましょう。
NG行動3:SNSの意見に振り回される
掲示板やSNSでは楽観的な意見も悲観的な意見も極端になりがちで、冷静な判断を妨げます。他人の意見ではなく、自分で調べた事実に基づいて判断しましょう。
NG行動4:他の銘柄で取り返そうとリスクを取る
含み損のストレスから「他の銘柄で一発逆転を狙おう」とハイリスクな取引をするのは、ギャンブルと同じです。損失が損失を呼ぶ悪循環に陥ります。
NG行動5:株価を1日に何度もチェックする
含み損を抱えていると、つい何度もスマホで株価を確認してしまいますが、精神衛生上よくありません。確認は1日1〜2回に留めましょう。

含み損を防ぐための予防策
含み損が発生してからの対処も大切ですが、そもそも大きな含み損を作らないための予防策を講じておくことが最も重要です。
予防策1:購入前に損切りラインを決めておく
株を買う前に「◯%下がったら損切りする」というルールを決め、逆指値注文をセットしておきましょう。事前に決めておけば、含み損が膨らむ前に対処できます。
予防策2:一度に全額を投入しない
投資資金を分割して、時間をずらして購入する「分割買い」を行えば、高値掴みのリスクを軽減できます。例えば3回に分けて購入すれば、平均取得単価を平準化できます。
予防策3:分散投資を心がける
1つの銘柄に集中投資すると、その銘柄が下がったときのダメージが大きくなります。複数の銘柄や資産クラスに分散することで、ポートフォリオ全体のリスクを抑えられます。
予防策4:余裕資金で投資する
生活費や近いうちに使う予定のお金で投資すると、含み損が発生したときに精神的な余裕がなくなります。当面使う予定のない余裕資金で投資することが、冷静な判断の前提条件です。
含み損を乗り越えた先にあるもの
含み損の経験は、投資スキルを向上させる貴重な学びの機会でもあります。
自分のリスク許容度がわかる
実際に含み損を経験することで、自分がどの程度の損失まで精神的に耐えられるかがわかります。この「リスク許容度」は、投資戦略を決める上で最も重要な要素の一つです。
投資判断の改善につながる
含み損が発生した原因を分析することで、次の投資判断に活かせます。「なぜこの銘柄を買ったのか」「どこで間違えたのか」を振り返ることが、投資スキルの向上に直結します。
メンタルが鍛えられる
含み損を冷静に対処できるようになれば、投資家としてのメンタルが格段に強くなります。感情に左右されない判断力は、長期的な投資成績を大きく左右する要素です。

まとめ:含み損は冷静な判断で乗り越えられる
含み損への対処法のポイントをまとめます。
- 含み損の原因を「一時的」か「構造的」か見極める
- 対処法は「損切り」「保有継続」「ナンピン」「一部売却」「損益通算」の5つ
- 「今この銘柄を持っていなかったら買うか?」の自問が判断基準
- 感情ではなくロジックで判断する(チェックリスト活用)
- 根拠なきナンピンやSNSへの依存は避ける
- 最善の対処法は「大きな含み損を作らない予防策」を講じること
含み損は投資をしていれば避けて通れないものです。重要なのは含み損を出さないことではなく、含み損が発生したときに冷静に対処できる仕組みとメンタルを持つことです。この記事で紹介した対処法とチェックリストを活用して、含み損を恐れずに投資を続けていきましょう。
投資のリスク管理全般については、日本証券業協会の投資の時間で基礎から学べます。また、損益通算や繰越控除の仕組みについては国税庁のウェブサイトで最新の情報を確認しましょう。



