「PERとPBRってよく聞くけど、何の略で何を表しているの?」「数字が高いと良いの?低いと良いの?」と疑問に思っている投資初心者の方は多いでしょう。PERとPBRは株式投資で最も基本的な指標ですが、正しく理解している人は意外と少ないのが実情です。
PERは「今の利益水準で投資額を何年で回収できるか」、PBRは「企業の純資産に対して株価が何倍か」を示す指標です。この2つを使いこなせれば、割安な銘柄を見つける目が養われます。
この記事では、PERとPBRの意味・計算方法・見方・活用法を初心者にもわかりやすく解説します。具体例を交えながら説明しますので、読み終わる頃には実際の銘柄分析で使えるようになるはずです。

PER(株価収益率)とは
まずはPERから詳しく見ていきましょう。PERは株式投資で最も使われる指標の一つです。
PERの意味と計算方法
PERはPrice Earnings Ratioの略で、日本語では「株価収益率」と呼ばれます。計算式は次の通りです。
PER = 株価 ÷ 1株あたり純利益(EPS)
例えば、株価が1,000円で1株あたり純利益(EPS)が100円の企業の場合、PERは10倍となります。これは「今の利益水準が続けば、10年で投資額を回収できる」ということを意味しています。
PERの目安
日本株全体のPERの平均は概ね13〜17倍程度で推移しています。一般的な目安は以下の通りです。
| PER水準 | 評価 | 解釈 |
|---|---|---|
| 10倍以下 | 割安 | 市場からあまり期待されていない |
| 10〜15倍 | 適正〜やや割安 | 平均的な評価 |
| 15〜25倍 | 適正〜やや割高 | 成長期待が含まれている |
| 25倍以上 | 割高 | 高い成長が期待されている |
PERが低い=お買い得とは限らない
PERが低い銘柄は一見割安に見えますが、低い理由があるケースも多いです。業績が悪化する見通しがある、業界全体が衰退している、何らかのリスクを抱えているなどの理由で、株価が低迷していることがあります。
PERが低い理由を調べることが、本当の割安株を見つけるための第一歩です。
PBR(株価純資産倍率)とは
次にPBRについて詳しく解説します。PBRはPERとセットで使われることが多い重要指標です。
PBRの意味と計算方法
PBRはPrice Book-value Ratioの略で、日本語では「株価純資産倍率」と呼ばれます。計算式は次の通りです。
PBR = 株価 ÷ 1株あたり純資産(BPS)
例えば、株価が1,000円でBPSが1,250円の企業の場合、PBRは0.8倍です。これは企業が持っている純資産の価値よりも、株価の方が安い状態を意味しています。
PBRの目安
| PBR水準 | 評価 | 解釈 |
|---|---|---|
| 0.5倍以下 | かなり割安 | 純資産の半分以下の評価 |
| 0.5〜1.0倍 | 割安 | 解散価値を下回る |
| 1.0倍 | 理論上の底値 | 純資産と株価が同じ |
| 1.0〜2.0倍 | 適正 | 純資産に成長期待が上乗せ |
| 2.0倍以上 | 割高 | 高い成長期待が含まれる |
PBR1倍割れの意味
PBR1倍未満ということは、理論上、会社を解散して資産を分配した方が株主にとって得になる状態です。東京証券取引所も「PBR1倍割れの企業は改善策を開示すべき」と要請しており、注目度が高まっています。
ただし、PBR1倍割れだからといって必ずしも割安とは限りません。保有資産の価値が帳簿上の金額より低い可能性や、将来的に損失が発生する見込みがある場合は、PBRが低くても適正な評価であることがあります。

PERとPBRを組み合わせた分析方法
PERとPBRはそれぞれ単独で使うよりも、組み合わせて使う方が精度の高い判断ができます。
PERとPBRのマトリクス分析
| パターン | PER | PBR | 解釈 |
|---|---|---|---|
| パターンA | 低い | 低い | 割安の可能性大(要因調査必須) |
| パターンB | 低い | 高い | 利益は出ているが資産効率は低い |
| パターンC | 高い | 低い | 利益が少ないが資産は豊富 |
| パターンD | 高い | 高い | 成長期待が大きい(割高リスクあり) |
バリュー投資の王道は「パターンA」の銘柄を探すことです。PERもPBRも低い銘柄は、市場から見過ごされている可能性があります。ただし、割安に放置されている理由がある場合も多いため、必ずその理由を調べましょう。
ROEとの関係性
PERとPBRは、ROE(自己資本利益率)を通じてつながっています。
PBR = PER × ROE
この関係式から、PBRが低い原因がPERの低さ(市場の低い評価)にあるのか、ROEの低さ(収益力の弱さ)にあるのかを判断できます。ROEが高いのにPBRが低い場合は、市場が過小評価している可能性が高いと言えます。
業種別のPER・PBRの平均値
PERとPBRの適正水準は業種によって大きく異なります。主な業種の平均値を知っておきましょう。
| 業種 | PER目安 | PBR目安 |
|---|---|---|
| 銀行 | 8〜12倍 | 0.3〜0.6倍 |
| 自動車 | 8〜15倍 | 0.6〜1.2倍 |
| 食品 | 15〜25倍 | 1.0〜2.5倍 |
| IT・ソフトウェア | 20〜40倍 | 3.0〜8.0倍 |
| 医薬品 | 15〜30倍 | 1.5〜4.0倍 |
| 不動産 | 10〜18倍 | 0.8〜1.5倍 |
例えば、IT企業のPERが25倍でも業界内では割安かもしれませんが、銀行のPERが25倍なら明らかに割高です。必ず同じ業種内で比較するのがPER・PBR分析の鉄則です。

PER・PBRの確認方法
PERとPBRは、証券会社のサイトや株式情報サイトで簡単に確認できます。自分で計算する必要はありません。
証券会社のサイト
SBI証券、楽天証券、マネックス証券などのネット証券では、銘柄の個別ページにPER・PBRが表示されています。スクリーニング機能を使えば、PER・PBRの条件で銘柄を検索することも可能です。
株探(かぶたん)
株探では、銘柄ごとのPER・PBRに加え、過去の推移や業界平均との比較もできます。無料で利用できるため、初心者にもおすすめの情報源です。
Yahoo!ファイナンス
Yahoo!ファイナンスの銘柄ページでも、PER・PBRをはじめとする各種指標が確認できます。スマートフォンからも手軽にアクセスできるのが便利です。
PER・PBR分析の落とし穴と注意点
PERとPBRは便利な指標ですが、万能ではありません。以下の注意点を把握しておきましょう。
注意点1:一時的な利益に注意
特別利益(資産売却益など)で一時的に純利益が跳ね上がると、PERが異常に低くなります。PERを見るときは、その利益が「本業由来」なのか「一時的要因」なのかを確認することが大切です。
注意点2:赤字企業にはPERが使えない
前述の通り、純利益がマイナスの企業にはPERが計算できません。成長途中のスタートアップ企業などでは、売上高の成長率やPSR(株価売上高倍率)を代替指標として使います。
注意点3:簿価と時価の乖離
PBRの「純資産」は帳簿上の価値(簿価)であり、実際の市場価値(時価)とは異なることがあります。特に不動産を多く保有する企業は、簿価と時価に大きな差がある場合があります。
注意点4:成長企業はPERが高くて当然
毎年30%以上の成長を続けている企業は、PERが40倍や50倍でも割安である可能性があります。PEGレシオ(PER÷利益成長率)を使えば、成長性を考慮した割安度を判断できます。
まとめ:PERとPBRは投資判断の出発点
PERとPBRの基本をまとめます。
- PER=利益ベースの割安度、PBR=資産ベースの割安度
- PERの目安は15倍前後、PBRの目安は1倍前後
- 同業種内で比較するのが大前提
- 低PER・低PBRの理由を調べることが最も重要
- ROEと組み合わせれば、割安の原因を特定できる
PERとPBRは株式投資の入り口ともいえる基本指標です。まずはこの2つの指標を使って、気になる銘柄をチェックする習慣をつけましょう。数字を見ることに慣れてくれば、自然と「割安な銘柄」が見えてくるようになります。
PER・PBRなどの投資指標の基礎知識は、日本取引所グループの学習コンテンツで詳しく学べます。また、銘柄の指標を手軽に確認するには株探(かぶたん)が便利です。東京証券取引所のPBR改善要請について詳しく知りたい方は日本取引所グループの公式サイトをご確認ください。



