投資信託を始めようと思っても、数千本もの商品があるため「どれを選べばいいかわからない」と悩む方がほとんどです。証券会社のサイトを開いても、横文字だらけの商品名が並んでいて途方に暮れてしまうのは当然のことです。
しかし、初心者が選ぶべき投資信託のタイプは実はかなり絞られます。低コストのインデックスファンドの中から、自分の投資方針に合ったものを1〜3本選ぶだけで十分なのです。むしろ、あれこれ手を出しすぎる方が管理が複雑になってマイナスです。
この記事では、投資信託の基礎知識から初心者に適した商品タイプ、そして商品選びで絶対に押さえるべきポイントまで、わかりやすく解説していきます。投資信託デビューを考えている方は、ぜひ最後まで読んでください。

投資信託の基本をおさらい
投資信託とは、多くの投資家から集めたお金をプロのファンドマネージャーが運用し、その成果を投資家に還元する金融商品です。少額から世界中の株式や債券に分散投資できるのが最大のメリットです。
投資信託には大きく分けて2つのタイプがあります。
| タイプ | 特徴 | コスト | 運用方針 |
|---|---|---|---|
| インデックスファンド | 指数に連動する運用 | 低い(年0.05〜0.3%) | 市場平均を目指す |
| アクティブファンド | プロが銘柄選定 | 高い(年0.5〜2.0%) | 市場平均を上回ることを目指す |
初心者におすすめなのは圧倒的にインデックスファンドです。その理由は「コストが安い」「長期的にアクティブファンドの多くに勝つ」「商品選びがシンプル」の3点に集約されます。
初心者に適した投資信託のカテゴリー
全世界株式インデックスファンド
投資信託を1本だけ選ぶなら、全世界株式インデックスファンドがベストの選択肢です。これ1本で日本を含む世界中の株式(先進国・新興国)に分散投資できます。
全世界株式インデックスの主なメリットは以下の通りです。
- 約50カ国・数千銘柄に自動で分散投資できる
- 特定の国や地域に偏らないため、地域リスクが低い
- 世界経済の成長をまるごと取り込める
- 信託報酬が年0.06%前後と非常に安い商品がある
「どの国が今後伸びるかわからない」という方にとって、世界全体に投資するこのアプローチは最も合理的な選択と言えます。
米国株式インデックスファンド(S&P500)
米国の代表的な大型株500銘柄で構成されるS&P500に連動するファンドも、初心者に人気の選択肢です。Apple、Microsoft、Amazon、Googleといった世界的な企業に投資できます。
米国は世界最大の経済大国であり、イノベーションの中心地です。過去の実績では全世界株式を上回るリターンを出してきた実績がありますが、今後も同じ結果になる保証はない点には注意が必要です。
全世界株式とS&P500で迷ったら、両方に半分ずつ投資するのも一つの方法です。ただし、全世界株式の約60%は米国株で構成されているため、両方持つと米国の比率がかなり高くなる点は理解しておきましょう。
バランス型ファンド
株式だけだと値動きが大きくて不安という方には、バランス型ファンドが向いています。株式と債券を自動で組み合わせてくれるため、自分でリバランスする手間が省けます。
代表的なバランス型の構成は以下の通りです。
- 株式50%・債券50%:リスクを抑えたい方向け
- 株式70%・債券30%:成長性とリスクのバランスを取りたい方向け
- 8資産均等:国内外の株式・債券・不動産に均等分散
ただし、長期投資(20年以上)を前提とするなら、バランス型よりも株式100%のインデックスファンドの方がリターンが高くなる可能性が高いです。

投資信託を選ぶ時に必ずチェックするポイント
信託報酬(運用コスト)
投資信託選びで最も重要なのが信託報酬の安さです。信託報酬は保有している限り毎日かかり続けるコストであり、長期投資ではその差が大きな金額になります。
目安として、インデックスファンドなら年0.2%以下を選びましょう。最安クラスでは年0.06%を切る商品も登場しています。
純資産総額
純資産総額はそのファンドにどれだけのお金が集まっているかを示す指標です。純資産総額が大きいファンドほど安定した運用が期待でき、繰上償還(強制終了)のリスクも低くなります。
目安として、100億円以上のファンドを選ぶのが安心です。人気のインデックスファンドは数千億〜数兆円規模の純資産を持っています。
運用実績(トラッキングエラー)
インデックスファンドの場合、ベンチマーク(指数)とのズレが小さいほど優秀です。このズレを「トラッキングエラー」と呼びます。信託報酬が安くてもトラッキングエラーが大きいファンドは、実質的なコストが高い可能性があります。
初心者が避けるべき投資信託のタイプ
初心者が手を出すべきでない投資信託のタイプを知っておくことも重要です。以下のようなファンドは、投資経験が豊富になるまで避けた方が無難です。
毎月分配型ファンド
毎月分配金がもらえるため一見お得に見えますが、元本を取り崩して分配しているケースが多く、実質的に資産が減っていきます。長期の資産形成には全く向きません。
テーマ型ファンド
「AI」「メタバース」「脱炭素」といった旬のテーマに投資するファンドです。話題性はありますが、信託報酬が高く、ブームが過ぎると大きく値下がりする傾向があります。
レバレッジ型ファンド
指数の2倍・3倍の値動きをする仕組みのファンドです。上昇局面では大きなリターンが得られますが、下落時の損失も倍になります。長期保有には構造的に向いていません。
金融機関の窓口で勧められるファンドは、手数料が高い商品であることが多いです。窓口のアドバイスを参考にしつつも、最終的には自分で信託報酬や運用方針を確認してから購入しましょう。

NISAとiDeCoの使い分け
投資信託を始めるなら、まず活用すべきなのが税制優遇制度です。代表的なのが「NISA」と「iDeCo」の2つです。
| 項目 | NISA(つみたて投資枠) | iDeCo |
|---|---|---|
| 年間投資上限 | 120万円 | 14.4万〜81.6万円 |
| 運用益非課税 | 無期限 | あり |
| 所得控除 | なし | 全額控除 |
| 引き出し | いつでも可能 | 原則60歳まで不可 |
| 対象商品 | 金融庁が厳選 | 金融機関が選定 |
初心者はまずNISAのつみたて投資枠から始めるのがおすすめです。いつでも引き出せるため、投資に慣れるまでの練習台としても最適です。NISAに慣れてきたら、節税効果の高いiDeCoも併用しましょう。
投資信託の始め方3ステップ
投資信託を始める手順はとてもシンプルです。
ステップ1:ネット証券で口座を開設する
大手ネット証券なら口座開設は無料で、投資信託の購入手数料もかかりません。店舗型の金融機関よりもネット証券の方が、商品数が多くコストも安い傾向があります。
ステップ2:NISA口座を開設する
証券口座と同時にNISA口座も申し込みましょう。運用益が非課税になるメリットは使わないと損です。
ステップ3:積立設定をする
購入する投資信託を選んだら、毎月の積立設定を行います。クレジットカード積立に対応している証券会社なら、ポイント還元も受けられてお得です。
投資信託は100円から購入できます。最初は少額で始めて値動きに慣れてから金額を増やしていくのが、失敗しないコツです。
よくある質問
Q. 投資信託はいくらから始められますか?
ネット証券なら100円から購入できます。まずは少額で始めて、投資の感覚をつかんでから金額を増やしていくのがおすすめです。
Q. 投資信託で元本割れすることはありますか?
はい、投資信託は元本保証の商品ではないため、元本割れの可能性はあります。ただし、全世界株式のインデックスファンドを15年以上保有した場合、過去のデータではほぼプラスのリターンとなっています。
Q. 何本くらい保有すればいいですか?
全世界株式インデックスファンドなら1本で十分な分散投資ができます。多くても3本程度に抑えた方が管理がしやすくおすすめです。

投資信託の基礎知識は投資信託協会で学ぶことができます。NISA制度の詳細は金融庁のNISA特設サイトで確認できます。また、投資全般の学習には日本証券業協会の投資の時間が役立ちます。


