投資信託の商品数は日本国内だけでも約6,000本以上あります。これだけの選択肢の中から自分に合った商品を見つけるのは、初心者にとってかなりハードルが高いと感じるのではないでしょうか。
しかし、選び方のポイントを知っていれば、候補はたった数本にまで絞り込めます。重要なのは「何を基準に判断するか」を明確にすることです。感覚やなんとなくの印象で選んでしまうと、長期的に不利な商品を掴んでしまうリスクがあります。
この記事では、投資信託を選ぶ際に必ず確認すべきポイントを6つに絞って解説します。初めて投資信託を購入する方はもちろん、すでに保有しているけれど選び方に自信がない方にも役立つ内容です。

ポイント1:信託報酬は最も重要な判断基準
投資信託選びで最初に確認すべきなのが信託報酬(運用管理費用)です。信託報酬は保有している間ずっとかかり続けるコストであり、長期投資では最終的なリターンに最も大きく影響する要素です。
信託報酬がリターンに与える影響を具体的に見てみましょう。
| 信託報酬 | 月3万円を30年間積立(年利5%想定) | 信託報酬0.1%との差額 |
|---|---|---|
| 年0.1% | 約2,396万円 | ― |
| 年0.3% | 約2,314万円 | 約82万円 |
| 年0.5% | 約2,234万円 | 約162万円 |
| 年1.0% | 約2,038万円 | 約358万円 |
0.1%と1.0%の差は30年間で約358万円にもなります。同じ指数に連動するファンドなら、リターンはほぼ同じですから、信託報酬の差がそのまま手取りの差になるのです。
インデックスファンドなら年0.2%以下、できれば0.1%前後のものを選びましょう。近年は信託報酬の引き下げ競争が活発で、年0.06%を切る超低コスト商品も登場しています。
ポイント2:インデックスファンドかアクティブファンドか
投資信託は大きく「インデックスファンド」と「アクティブファンド」に分かれます。この選択は運用成績を大きく左右するため、しっかり理解しておく必要があります。
インデックスファンドの特徴
日経平均やS&P500などの市場指数に連動することを目指すファンドです。運用に手間がかからないため信託報酬が安く、市場平均のリターンが得られます。
アクティブファンドの特徴
ファンドマネージャーが銘柄を選定し、市場平均を上回るリターンを目指すファンドです。ただし信託報酬が高く、長期的にインデックスファンドに勝ち続けるアクティブファンドは全体の2割程度というデータもあります。
初心者にはインデックスファンドが断然おすすめです。「市場平均」と聞くと物足りなく感じるかもしれませんが、プロの8割が市場平均に負けているという事実を考えれば、市場平均は十分に優秀な成績です。

ポイント3:純資産総額をチェックする
純資産総額とは、そのファンドに集まっている資金の合計額です。純資産総額が大きいファンドほど運用が安定し、繰上償還のリスクが低いと言えます。
繰上償還とは、運用会社がファンドの運用を途中で終了してしまうことです。資金が集まらないファンドは運用コストを賄えなくなり、強制的に終了させられます。せっかく長期投資のつもりで購入したのに、ファンドがなくなってしまっては困ります。
純資産総額の目安
- 100億円以上:安心して投資できる水準
- 30億〜100億円:問題ないが今後の資金流入も確認したい
- 30億円未満:繰上償還のリスクがやや高い
- 10億円未満:注意が必要。新設ファンド以外は避けた方が無難
また、純資産総額だけでなく「資金流入の傾向」も重要です。純資産総額が増加傾向にあるファンドは人気があり、今後も安定した運用が期待できます。逆に減少傾向のファンドは注意が必要です。
ポイント4:投資対象と地域の分散を考える
投資信託は投資対象と投資地域によって、リスクとリターンの特性が大きく異なります。
| 投資対象 | 投資地域 | リスク | 期待リターン |
|---|---|---|---|
| 株式 | 全世界 | 中〜高 | 年5〜7% |
| 株式 | 米国 | 中〜高 | 年6〜8% |
| 株式 | 日本 | 中 | 年3〜5% |
| 株式 | 新興国 | 高 | 年4〜8% |
| 債券 | 先進国 | 低〜中 | 年1〜3% |
| バランス型 | 全世界 | 低〜中 | 年3〜5% |
長期で資産を増やしたいなら株式中心、リスクを抑えたいなら債券を含むバランス型が基本的な考え方です。投資期間が長いほどリスクを取る余地が大きくなるため、若い方ほど株式比率を高めにするのが一般的です。
ポイント5:購入時手数料と信託財産留保額を確認する
信託報酬の他にも、投資信託にかかるコストがあります。
購入時手数料(販売手数料)
投資信託を購入する際にかかる手数料です。ネット証券ではほとんどの投資信託が購入時手数料無料(ノーロード)となっていますが、銀行の窓口などでは1〜3%の手数料がかかる場合があります。
購入時手数料は確実にリターンを削る無駄なコストです。ノーロードの商品を選ぶのが鉄則です。
信託財産留保額
投資信託を売却する際にかかるコストです。0.1〜0.3%程度が一般的ですが、信託財産留保額がゼロの商品も多数あります。頻繁な売買を想定していない長期投資では大きな問題にはなりませんが、ゼロの方が望ましいです。
銀行や証券会社の窓口で投資信託を購入すると、購入時手数料がかかるケースが多いです。同じ商品でもネット証券なら無料で購入できることがほとんどですので、コスト面ではネット証券での購入がおすすめです。
ポイント6:運用実績を正しく評価する
投資信託を選ぶ際に過去の運用実績を確認する方も多いですが、過去の成績が良かったからといって今後も良いとは限らない点に注意が必要です。
インデックスファンドの場合
同じ指数に連動するファンド同士を比較する場合は、ベンチマークとのズレ(トラッキングエラー)が小さいものが優秀です。信託報酬が安いファンドほどトラッキングエラーが小さい傾向があります。
アクティブファンドの場合
過去3年・5年・10年の運用実績を確認し、同カテゴリーのインデックスファンドと比較してください。長期的にインデックスを上回っていなければ、高い信託報酬を払う価値はありません。

投資信託の選び方まとめチェックリスト
最後に、投資信託を選ぶ際のチェックリストをまとめておきます。商品を比較する際にぜひ活用してください。
- 信託報酬は年0.2%以下か?
- インデックスファンドか?(初心者の場合)
- 純資産総額は100億円以上あるか?
- 投資対象と地域は自分の方針に合っているか?
- 購入時手数料は無料(ノーロード)か?
- トラッキングエラーは小さいか?
- 資金流入は増加傾向か?
このチェックリストをクリアする商品は、実はそれほど多くありません。大手運用会社が出している低コストインデックスファンドシリーズの中から選ぶのが、最もシンプルで合理的な方法です。
投資信託選びで最も大切なのは「迷いすぎて始められない」ことを避けることです。上記のチェックリストを満たす商品を1〜2本選んだら、まずは少額で始めてみましょう。投資は「始める」ことが最大のハードルです。

投資信託の仕組みについては投資信託協会が詳しく解説しています。各ファンドの比較はモーニングスターで確認できます。また、初心者向けの資産運用ガイドは金融広報中央委員会の知るぽるとが参考になります。


