投資を始めて半年、1年と経つと、最初に決めた資産配分が少しずつズレてくることに気づくでしょう。株式が好調なら株式の割合が増え、債券が値下がりすれば債券の割合が減る。これは自然なことですが、放置すると意図しないリスクを抱えることになります。
リバランスとは、ズレてしまった資産配分を元の目標比率に戻す作業のことです。たとえば「株式60%・債券40%」と決めていたのに、株式が値上がりして「株式70%・債券30%」になっていたら、株式を売って債券を買い、元の60:40に戻します。
この記事では、リバランスの仕組み・やり方・適切な頻度から、初心者でも実践しやすい具体的な方法まで丁寧に解説していきます。リバランスを理解すれば、長期投資の精度がぐっと上がるはずです。

リバランスはなぜ必要なのか
「別にズレたままでもいいんじゃないの?」と思うかもしれません。しかし、リバランスをしないとさまざまな問題が発生します。
リスクが想定以上に高まる
株式が大きく値上がりすると、ポートフォリオに占める株式の割合が自然と増えていきます。株式比率が高くなるということは、それだけリスクも高くなっていることを意味します。暴落が来たときのダメージが、当初想定していたよりも大きくなってしまうのです。
具体例で見るリバランスの効果
株式60%・債券40%で100万円を運用したケースを考えてみましょう。
| 状態 | 株式 | 債券 | 合計 | 株式比率 |
|---|---|---|---|---|
| 運用開始時 | 60万円 | 40万円 | 100万円 | 60% |
| 1年後(株式+30%、債券+2%) | 78万円 | 40.8万円 | 118.8万円 | 65.7% |
| リバランス後 | 71.3万円 | 47.5万円 | 118.8万円 | 60% |
リバランスせずに放置すると、株式比率は65.7%まで上昇し、当初の60%よりリスクの高い状態になっています。リバランスで元に戻すことで、意図したリスク水準を維持できるのです。
リバランスの3つのやり方
リバランスにはいくつかの方法があります。自分の状況に合った方法を選びましょう。
やり方1:売却リバランス
比率が高くなった資産を売り、比率が低くなった資産を買って配分を元に戻す方法です。最もオーソドックスなやり方ですが、特定口座(課税口座)では売却時に利益に税金がかかる点に注意が必要です。
NISA口座であれば売却益に税金がかからないため、売却リバランスが使いやすいです。ただし、NISAの非課税枠は一度売却すると翌年まで復活しないことを覚えておきましょう。
やり方2:追加投資リバランス(ノーセルリバランス)
既存の資産を売却せずに、比率が低い資産クラスに追加投資することで配分を調整する方法です。売却による税金が発生しないため、初心者にもっともおすすめのリバランス方法です。
たとえば、株式比率が高くなりすぎた場合、追加投資分をすべて債券に回すことで、徐々に目標配分に近づけていきます。
やり方3:積立配分の変更
毎月の積立比率を変更することでリバランスする方法です。たとえば、株式が増えすぎた場合、積立の株式比率を下げて債券比率を上げます。時間はかかりますが、手間が最も少ない方法です。

リバランスの適切な頻度
リバランスはどのくらいの頻度で行うべきなのでしょうか。大きく分けて2つの考え方があります。
定期リバランス:時間で決める
半年に1回、もしくは1年に1回など、決まった時期にリバランスを行う方法です。
- 年1回:多くの個人投資家におすすめ。年末や年度末など覚えやすい時期に行う
- 半年に1回:もう少しこまめに管理したい方向け
- 四半期に1回:やや頻度が高い。手間とのバランスを考慮
初心者には年1回のリバランスが最もおすすめです。手間が少なく、それでいて十分な効果が得られます。
閾値リバランス:ズレ幅で決める
配分が目標から一定以上ズレたときにリバランスを行う方法です。たとえば「目標から5%以上ズレたらリバランスする」というルールを設定します。
| 方法 | メリット | デメリット |
|---|---|---|
| 定期リバランス | シンプルで忘れにくい | 大きくズレたまま放置される可能性 |
| 閾値リバランス | ズレに応じた適切なタイミング | 常にチェックが必要で手間がかかる |
リバランスの具体的な手順
実際にリバランスを行う際の手順を、具体的な数字を使って解説します。
ステップ1:現在の資産配分を確認する
まず、証券会社のサイトで保有資産の評価額を確認します。多くの証券会社では、資産の内訳を円グラフやリストで表示してくれます。
ステップ2:目標配分とのズレを計算する
たとえば、総資産200万円で目標配分が株式60%・債券40%なら、理想は株式120万円・債券80万円です。現在、株式が140万円(70%)・債券が60万円(30%)だとすると、株式が20万円分多く、債券が20万円分少ない状態です。
ステップ3:リバランスを実行する
売却リバランスの場合は、株式を20万円分売って債券を20万円分購入します。追加投資リバランスの場合は、次回以降の追加投資分を債券に集中させて、徐々に目標比率に近づけます。
ステップ4:結果を確認する
リバランス後に、目標配分通りになっているかを確認しましょう。多少のズレ(1〜2%程度)は問題ありません。

リバランスの注意点
リバランスを行う際に気をつけたいポイントを解説します。
注意点1:税金を考慮する
特定口座(課税口座)で売却リバランスを行うと、値上がり益に対して約20%の税金がかかります。NISAなど非課税口座を優先的に使うか、追加投資リバランスを選ぶと税負担を抑えられます。
注意点2:やりすぎに注意
リバランスは頻繁にやりすぎると、売買コストや税金がかさんで逆効果になります。年に1〜2回で十分です。毎月チェックして細かく調整するのは手間に見合ったリターンが得られません。
注意点3:小さなズレは無視する
目標配分から2〜3%程度のズレであれば、リバランスの必要はありません。5%以上ズレた場合にアクションを起こすくらいで十分です。完璧を目指すよりも「だいたい合っている」状態を維持するイメージでいましょう。
リバランスを楽にするコツ
リバランスを習慣化して、手間を最小限にするコツを紹介します。
コツ1:カレンダーに予定を入れる
年に1〜2回、決まった時期にリバランスの予定をカレンダーに入れておきましょう。年末年始やボーナス時期に合わせると覚えやすいです。
コツ2:バランスファンドを使う
自分でリバランスするのが面倒な方は、バランスファンド(複数の資産クラスに自動で配分してくれるファンド)を使えば、ファンド内部で自動的にリバランスが行われるため、自分で何もする必要がありません。
コツ3:積立金額の比率調整で対応する
毎月の積立を行っている場合、配分が多い資産クラスの積立額を一時的に減らし、少ない方を増やすことでリバランスの効果が得られます。売却不要で税金もかかりません。
コツ4:全世界株式ファンド1本にまとめる
究極のシンプル解は、全世界株式インデックスファンド1本だけに投資する方法です。株式の中の地域配分はファンド内部で自動調整されるため、リバランスの概念自体が不要になります。

リバランスに関するよくある質問
Q:暴落時にもリバランスすべき?
暴落時こそリバランスの効果が大きくなります。株式が大きく下がった場合、債券を売って安くなった株式を買い増すことになります。結果的に「安値で株式を仕込む」ことになるのです。精神的にはつらいですが、ルール通りに実行することで長期的なリターンが向上します。
Q:NISA口座でリバランスするとどうなる?
NISAでは売却益に税金がかかりませんが、売却した分の非課税枠は翌年まで復活しません。そのため、NISA口座ではなるべく追加投資リバランスを活用し、売却を最小限に抑えるのが賢い方法です。
Q:リバランスしないとどうなる?
リバランスしなくても投資自体は継続できます。ただし、配分のズレが大きくなり、意図しないリスクを取り続けることになります。特に株式の好調が続いた後に暴落が来ると、リバランスしていた場合に比べて損失が大きくなる可能性があります。
まとめ:リバランスは投資の定期メンテナンス
リバランスは、自分が決めた資産配分を維持するための大切なメンテナンス作業です。この記事のポイントをまとめます。
- リバランスとは、ズレた資産配分を元に戻す作業
- 初心者には年1回の追加投資リバランスがおすすめ
- 5%以上ズレたら検討、2〜3%のズレは無視してOK
- やりすぎはコスト増で逆効果になることも
- 面倒な人はバランスファンドか全世界株式ファンド1本で解決
リバランスについて体系的に学びたい方は、GPIFの運用報告書が実務的な参考になります。また、投資全般の基礎知識は投資信託協会でも学ぶことができます。



