投資信託を選ぶとき、「利回り」は気になるポイントのひとつです。ただ、利回りの数字だけを見て選んでしまうと、思わぬ落とし穴にはまることも。
この記事では、投資信託の利回りの基本的な考え方や平均的な水準を解説したうえで、ファンド選びで押さえておくべきポイントを紹介します。利回りだけに振り回されない、賢い投資信託の選び方を身につけましょう。

投資信託の利回りとは?基本をおさらい
まずは利回りの基本的な意味を確認しておきましょう。
利回りの定義
投資信託の利回りとは、投資した金額に対して、どれくらいの利益(リターン)が得られたかを年率で示した数値です。たとえば100万円を投資して1年後に105万円になった場合、利回りは5%ということになります。
利回りには、値上がり益(キャピタルゲイン)と分配金(インカムゲイン)の両方が含まれます。ファンドの種類によっては、分配金を出さずに利益を再投資するタイプもあり、その場合は基準価額の上昇分が利回りに反映されます。
利回りと騰落率の違い
投資信託の実績を見るときに「騰落率」という数字も目にします。騰落率は、ある期間における基準価額の変動率を示すもので、利回りとほぼ同じ概念です。ただし、騰落率は信託報酬(運用管理費用)を差し引いた後の数値であるのに対し、利回りは税金や購入時の手数料を考慮しない場合もあるため、細かい定義には注意が必要です。
投資信託の利回りの目安
投資対象によって利回りの目安は大きく異なります。一般的な水準としては以下の通りです。
- 国内債券型:年0.5%から2%程度(低リスク・低リターン)
- 国内株式型:年3%から7%程度(中リスク・中リターン)
- 先進国株式型:年5%から10%程度(中〜高リスク・中〜高リターン)
- 全世界株式型:年5%から8%程度(分散効果が高い)
- 新興国株式型:年5%から12%程度(高リスク・高リターン)
ただしこれはあくまで過去の実績に基づく目安であり、将来の利回りを保証するものではありません。投資環境によって大きく変動する可能性があります。
利回りは過去の実績であり、将来のリターンを約束するものではありません。利回りだけで判断せず、リスクや手数料なども含めて総合的に評価することが大切です。
投資信託を選ぶ5つのポイント
利回りに注目しつつも、それ以外の重要な要素もチェックしましょう。投資信託選びで失敗しないためのポイントを解説します。
ポイント1:信託報酬(運用管理費用)を確認する
信託報酬は、投資信託を保有している間ずっとかかる手数料です。年0.1%と年1%では、長期的に大きな差が生まれます。たとえば100万円を年利5%で20年運用した場合、信託報酬が0.1%なら約260万円、1%なら約217万円と、約43万円もの差が出ます。
一般的に、市場全体に連動するインデックスファンドは信託報酬が低く(年0.05%から0.2%台)、プロが銘柄を選ぶアクティブファンドは高め(年1%から2%台)です。長期投資では信託報酬の低いインデックスファンドが有利になりやすい傾向があります。
ポイント2:純資産総額をチェックする
純資産総額は、そのファンドに集まっている資金の総額です。一般的に純資産総額が大きいファンドは運用が安定しやすく、繰上償還(ファンドの強制終了)のリスクも低いです。目安として、100億円以上の純資産総額があるファンドを選ぶと安心です。
ポイント3:運用方針とベンチマークを理解する
投資信託は「何に投資するか」によって性格がまったく異なります。全世界株式、先進国株式、国内株式、バランス型など、自分の投資方針に合った運用対象を選びましょう。インデックスファンドの場合は、どの指数(ベンチマーク)に連動するかを確認することが重要です。
ポイント4:新NISAの対象かどうか確認する
新NISAのつみたて投資枠で購入できるファンドは、金融庁が定めた基準を満たしたものに限定されています。つまり、つみたて投資枠の対象ファンドは一定の品質が担保されているともいえます。初心者はまずつみたて投資枠の対象ファンドから選ぶのがおすすめです。
ポイント5:分配金の方針を確認する
投資信託には、定期的に分配金を出すタイプと、分配金を出さずに利益を再投資するタイプがあります。長期的な資産形成が目的なら、分配金を出さない「再投資型」のほうが複利効果を最大限に活かせます。分配金を出すファンドは元本を取り崩して分配しているケースもあるため、「分配金=利益」とは限らない点に注意が必要です。

初心者におすすめのファンドの種類
数千本ある投資信託の中から選ぶのは大変ですが、初心者におすすめのファンドタイプを絞って紹介します。
全世界株式インデックスファンド
先進国から新興国まで、世界中の株式市場に幅広く分散投資できるファンドです。1つのファンドで世界経済全体の成長を取り込めるため、「何を買えばいいかわからない」という初心者にぴったりです。信託報酬が年0.05%台から0.1%台と非常に低コストな商品もあります。
全米株式インデックスファンド
米国株式市場全体に投資するファンドです。米国は世界最大の経済大国であり、イノベーションを生み出す企業が多いため、過去の実績では高い利回りを記録しています。ただし、米国一国への集中投資となるため、地域分散の観点ではやや偏りがあります。
バランス型ファンド
株式だけでなく、債券やREIT(不動産投資信託)なども組み合わせて運用するファンドです。株式100%のファンドと比べてリスクが低い傾向にあるため、値動きの大きさが気になる方に向いています。ただし、リスクが低い分、期待できるリターンも控えめになります。
利回りに惑わされないための注意点
投資信託の利回りを見るときに、陥りやすい落とし穴をいくつか紹介します。
過去の好成績が将来も続くとは限らない
「過去3年の利回りが20%」と聞くと魅力的に感じますが、それは過去の結果に過ぎません。特にアクティブファンドでは、好成績を長期間維持し続けるのは難しいとされています。過去の実績は参考程度にとどめ、運用方針やコストも含めて判断しましょう。
高分配金=高利回りではない
毎月分配型のファンドは「毎月お金がもらえる」と人気がありますが、分配金の原資が元本の取り崩しになっているケースがあります。いわゆる「タコ足配当」と呼ばれる状態で、見かけ上の利回りは高くても、実際には資産が減っている可能性があります。
テーマ型ファンドは慎重に
「AI」「脱炭素」「メタバース」といったテーマに特化したファンドは、注目度が高く一時的に好成績を出すこともありますが、テーマの人気が去ると低迷するリスクがあります。コア(中心)の投資にはインデックスファンドを据え、テーマ型はサテライト(補助的な投資)として少額にとどめるのがおすすめです。
投資信託の利回りは過去の実績であり、将来のリターンを保証するものではありません。利回りの高さだけでファンドを選ぶのではなく、信託報酬・純資産総額・運用方針を総合的にチェックしましょう。

投資信託の利回りに関するQ&A
Q. インデックスファンドとアクティブファンド、利回りが高いのはどっち?
短期的にはアクティブファンドが上回ることもありますが、長期的にはインデックスファンドのほうが好成績を残す傾向があります。これはアクティブファンドの信託報酬が高い分、リターンが削られることが大きな要因です。コスト面を考慮すると、初心者にはインデックスファンドがおすすめです。
Q. 投資信託の利回り5%は現実的?
全世界株式や全米株式のインデックスファンドの過去の平均利回りは年5%から7%程度とされており、長期投資であれば十分現実的な数字です。ただし、毎年安定して5%のリターンが出るわけではなく、年によってプラス20%の年もあればマイナス10%の年もあります。「平均」であることを理解しておきましょう。
Q. 利回りの確認はどこでできる?
各証券会社のサイトやアプリで、ファンドごとの騰落率(過去1年、3年、5年など)を確認できます。また、投資信託の情報サイトでは複数のファンドを横並びで比較できるため、便利です。
Q. つみたて投資枠でおすすめのファンドは?
全世界株式のインデックスファンドが初心者には特におすすめです。信託報酬が低く、世界中の企業に分散投資でき、新NISAのつみたて投資枠にも対応しています。1つのファンドで投資先を悩む必要がないため、「まず何か1つ始めたい」という方にぴったりです。
まとめ:利回りだけでなく総合力で選ぼう
投資信託の利回りは重要な指標のひとつですが、それだけで判断するのは危険です。信託報酬・純資産総額・運用方針・分配金の仕組みなど、総合的に評価して選ぶことが長期的な成功につながります。
初心者の方は、まず全世界株式や全米株式のインデックスファンドを、新NISAのつみたて投資枠で月々少額から積み立てるところから始めてみてください。シンプルな方法ですが、長期的にはとても効果的な資産形成の手段です。

投資信託について詳しく知りたい方は、投資信託協会のサイトが参考になります。また、新NISAの対象ファンドは金融庁のNISA特設サイトで確認できます。各ファンドの詳細情報はモーニングスターでも比較可能です。


